今月の編集長おすすめのポエム

「凶暴なテレピンの行方」右田洋一郎
「オギャ~~オギャ~~(二)」 イビイノリアキ」

※過去の作品はこちらから

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「凶暴なテレピンの行方」右田洋一郎

凶暴なテレピンよ
  そんなに気に病むことはないさ
    じつはね⋯⋯⋯ダブルスタンバイさせているんだ

ないしょだよ、 だれにも言っちゃだめだよ、

                きえてしまうから⋯⋯⋯
とっておきの彼を(が)ね。

一月
そもそもコロナが中国武漢で認知されたとき、ニッポン政府はほとんど関心を示さず、 いわゆる対岸の火事の認識さえ抱かず、国会 ごっこに明け暮れていた。
 新型コロナウイルス恐るべし、との認識がやっと閣僚会議を開かせたが、その初回で、 三人の大臣が欠席、地元選挙民のご機嫌を取っていた。危機管理能力欠如の極みだ、と マスコミが騒ぎ立てていたが、それもいつの間にか下火になり、ドサクサ紛れの小、中学 校一斉休校要請を唐突に全国に強要した。何 の法的根拠もない要請なのに、シンゾウの一 言で、笑えるほど一斉に全国の小、中学校が 要請に応じ、右往左往し、その間に、地球規模でコロナは猛威を振るい、未だもって矛先 を納める気配はない。
 地球にとっては極悪ウイルスである人類が多種ウイルスから攻撃を受け、滅びの道を突 き付けられているだけのことである。自分たちだけがいつまでも繁栄を享受できる、とお もっているのだろうが、勘違いもはなはだし い。滅びの種のニッチェを肝に銘じ、闘いの あと静かに地上から消え去ることを提言する。

二月
 歩いても、歩いても、どこまでも、と天はいう。
 ならば、シキブの発する永遠の声を信じて歩きつづけようじゃないか、なあセイジロウ。 おまえは大正時代を流星となって駆け抜け、「地上」連作で貧しい民の救世主となろうとしたんだった。が、必然的に反権力側に立つ小説を、時の官憲(政府)が看過するはずもなく、ベストセラー作家となって浮かれすぎていたおまえの高慢な言動を捉えて、おまえを拘束し、精神病院送りにしたのだった。
 おまえは、精神を破壊する薬を投与されたのだろうおそらくは。一転、謝るだけの男になって、収容者たちの代筆屋に堕した。いつもいつも誤り続けるおまえには、かつての翼はなくなり、むしり取られた傷跡だけが青い血を流しながら残されていた、と聞いた。 だれから?
 東京都港区芝公園7-9-3芝ビル7階居住の彼らからだ。
 金沢の遊郭で生まれ育ったシマダの目。数知れない地獄を見た、はずだ。よちよち歩きのころから首から上だけが真っ白い柔らかく饐えた匂いに抱かれていたのだろうセイジロウ。
 シマダの地上は、燃えるように哀しい。涙を流せない目が、いくつも飛びかう夜空に、セイジロウの頭がポッカリと浮かび、痛くなるほどの静寂が満ちるとき、硝子の瞳は影の ない人びとの怒りだけを映し出す窓になる。その頭をガリガリと噛っているのが、ガリガリ君、だったから愉快だ。
 雪の兼六園を訪ねたことがある。 島田は、地上を背負って血へドをはいてい たのだった。やはり影はセイジロウを、とうに見放しているのが、残念ながらわかったよ。
「どうしてきみはいつだってそんなにうれしそうにたにんのふこうを食べるんだい」
さあね
「もってうまれたしょうぶんってやつかい」
どうだかね
「のれんにうでおし、ぬかにくぎ、だなきみ」
うまいこというね
「ほめてるわけじゃないから」
あら、そうだったのか 「ほんとにきみがかってるそのごくらくとんぼをいっぴきでいいからぼくもほしいよ」
いやだ、あげない、ぜったいにあげない
「だろうね。ごくらくとんぼはきみそのものだものねきりうりできるわきゃないよね」
そこまで分ってるんなら欲しがるな
「そうするよ」
うん、素直でよろしい。

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「オギャ~~オギャ~~(二)」 イビイノリアキ」

幼い頃の遊び
二つの紙コップの底に糸を通して
コップを口にあてて、糸を張り
話始める
「もしもし〜」
糸電話遊び

みんなは
缶を蹴って逃げる
鬼の番の子は逃げた子を探す
缶蹴り遊び
カコーンと蹴られた缶は
  (カランコロン、カランコロン)
ブランコの下へ転がった
鬼の番が長く続き飽きた女の子は
ブランコに乗って歌いだした
  (ギイ〜〜ギイ〜〜〜)
♪♪♪
―ソソソおかあさんは優しいから好き〜〜〜
 ソソソお父さんは頑張ってる〜〜〜
 ソソソたまは可愛いな〜〜すき〜〜
(友達が声をかけた)
「なんばしょっと〜帰るバイ」
「ハ〜〜〜イ」
  (ギイ〜〜〜ギイ〜〜〜)
♪♪♪
ーランランラ〜懐かしい人の声だよ〜〜〜
 ランランラ〜手をつなごう〜歩いてこう〜〜
 ランランラ〜万華鏡の中ば歩こうよ〜〜〜
 ア〜〜写し絵は天国と〜〜誰かが言った〜〜

(もう一人の糸電話の子は紙コップを 耳から外して)
「〇〇〇〇・・・・・聞こえるよ〜〜」
「もしもしの後・・なんて言ったと?」
「なんも言っとらんけん」
「・・・ばってん聞こえたもん」
「なんも言っとらんて〜〜」
「・・・・・ばってん・・・・ 泣く時優しく抱いてあげる、て 聞こえたごたる〜」