「チョコレート・ガム」林 恭子
「トライトーン」 宮本誠一
「チョコレート・ガム」林 恭子
進駐軍がやって来た
jeepに乗って
長い足を更に長くして
誘われて短い足を伸す
ナニモッテハ 駄目
白人の兵士は
jeepに腰を下したまま
何かを撒いていた
子供が一斉に飛びつく 拾う
チョコなど味も知らない
ガムなどどう口に入れていいか
黙して眺めていた
小銭を船から投げていた小説 思い出した
あれは日本人
東南アジアの子供が一斉に海中へ
白人の兵士も若かった
気候変動が地球を襲い
カカオの実が 全滅寸前
チョコレートの味を忘れてしまうかも
「トライトーン」 宮本 誠一
音が
指がとどかない
どうしたらいいかって
残ったのを
たたきつづければいいのさ
黒も白も
まぜくりながら
とどくだけのでやりゃいいんだよ
つまりはさ
はぶかれたやつらが
つくりだした音なんだ
たたかれない
とどかない
しない
音が
そう あのときだって
だれもいないときを見はからい
やつは姿勢をかえたんだ
どうしたら
肺を圧しつぶせるか
重々わかってたし
自力で起き上がれぬ数分
じわじわと息つまる一刹那
呼び鈴のすきまにすべりこむように
まばたきで最後につぶやいたすぐあと
ミリ単位で調整されたアームにひっかけた
肘頭をガタンとおとしちまえば
あとはもう 押しちまった
核ボタンのようなもので
二度と後戻りできない
選んじまったんだよ
そのときを
やつは自分から
存在を
無音
ずらしちまったのさ

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